トヨタ生産方式(TPS)基礎講座~中級編~

稼働率と可動率の違い【トヨタ生産方式基礎講座 中級編:第5章】

稼働率と可動率の違い【トヨタ生産方式基礎講座 中級編:第5章】」の学習ページです。
どちらもカドウリツと書く2つの管理指標ですが、実は指標として見える化する目的が異なります。このページでは、2つの指標の意味と運用の目的の違いについて解説しています。

第5章:稼働率と可動率の違い

◆カイゼン講座:トヨタ生産方式基礎講座 中級編◆

トヨタ生産方式は、今や生産活動の基本中の基本と言ってよい存在です。

本講座では、標準作業や、稼働率と可動率の違い、後工程引取り生産の成立条件等を学習することが出来ます。

初級編はこちらから

第1章:標準作業とは
第2章:人の「働き」と「動き」の違い
第3章:見かけの能率向上と真の能率向上
第4章:省力化、省人化、少人化の違い
第5章:稼働率と可動率の違い ⇒ このページはココ
第6章:過剰在庫が生む新たなムダ ※無料一般会員限定
第7章:後工程引取り生産の成立条件とは ※無料一般会員限定
第8章:目で見る管理とアンドン

稼働率と可動率の違い 目次

  1. 稼働率とは
  2. 可動率とは
  3. 第5章まとめ

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はじめに

第5章:稼働率と可動率の違い-スライド3

トヨタ生産方式においては、2つの設備管理指標があります。

1つは稼働率です。

もう1つは、可動率と書いて、ベキドウリツと読みます。

あなたは、この2つを区別して説明することが出来ますか?
実際には、何となくは分かっているようでも、使い方が間違っていたり、逆に覚えていたりするケースが多々存在します。

本講義では、稼働率と可動率の違いを、自信を持って説明出来るようになるのが目的です。
どちらが現場が責任を持って向上させる指標なのか、どちらが経営幹部が判断する指標なのか、特徴を確認していきましょう。

目次第5章:稼働率と可動率の違い-スライド4

本講義では、次の3項で学習を進めていきます。

1.稼働率とは
2.可動率とは
3.第5章まとめ

1.稼働率とは

稼働率計算の基本第5章:稼働率と可動率の違い-スライド6

まずは、稼働率について確認します。

稼ぐという字を使う「稼働率」は、「定時での設備フル操業能力に対して、必要生産量を造る為に必要な時間の割合」のことを指します。需要からくる負荷の割合を表すと言ってもよいでしょう。

例えば、定時でフル操業した時に最大2000台を造れる設備があると仮定します。

この時、もし受注が1000台しかなかった場合は、2000台造れるのに1000台しか造る必要がないので、稼働率は、1000台/2000台で、50%となります。

一方で、もし受注が2500台あったとすると、生産必要量は、定時フル操業の能力の2000台を超えていますので、残業や休出操業等の対応をしなければいけません。

従って、稼働率は、2500台/2000台で、125%になります。

このような考え方が稼働率計算の基本です。

稼働率は、売れ行きによって決まる第5章:稼働率と可動率の違い-スライド7

お気づきでしょうか。そう、稼働率は、売れ行きによって決まります。

注文が無ければ0%、多いと200%もあり得るのです。

注意すべきことは、製造サイドで稼働率を無理に上げようとしてはいけない、ということです。
なぜならば、無理に造って必要以上の在庫を溜めることは最大の悪だからです。

稼働率の指標だけを上げようと、在庫を積み上げることは絶対に避けなければいけません。

あくまで必要生産量を前提にすることを忘れないようにしましょう。

自分のクルマと同じように考えよう第5章:稼働率と可動率の違い-スライド8

ではここで、稼働率について、クルマを例に説明します。

あなたは、車を所有していますか?所有している方は、稼働率はどのくらいでしょうか?

おそらく、通勤、買い物、ドライブ等、多くても2時間程度ではないでしょうか。

稼働率を計算すると、就寝時間を8時間として、1日定時フル操業時間が16時間となり、 2時間/16時間で、12.5%となります。
あなたは、この低い稼働率を上げようとしますか?そんなことをしたら間違いなくムダなので、やらないですよね!

工場における稼働率も同じようなものと考えましょう。
あくまで必要な時に設備を稼働させる、そして、必要な分だけ稼働をさせた場合に、どのくらいの負荷になっているかを、判断する指標が稼働率なのです。

日々現場で扱う指標としては向いていない第5章:稼働率と可動率の違い-スライド9

以上から、稼働率は、設備投資の上手さを表すと言えます。

予想通りの量が売れると、稼働率は100%になります。
一方で、予想が外れ、売れる量が半分になると、稼働率は50%に落ちます。
また、予想が外れ、売れる量が2倍になってしまうと、稼働率は200%となります。
そして、稼働率が100%前後で維持管理できている場合は、上手な設備投資が出来ていると判断できます。

逆に、稼働率が50%であったり、200%であったりした場合には、設備投資が不足、あるいは過剰であり、うまくいっていないことになります。

従って、稼働率は、市場環境に対して、設備投資が上手くいっているのかどうか、設備の負荷状況はどうなっているのかを測るモノサシとなる指標なのです。

つまり、日々現場で扱う指標としては向いていません。経営トップ・幹部が事実を正しく理解し、対応を考えていかなければいけないものになります。

長期低迷時の対応第5章:稼働率と可動率の違い-スライド10

では、稼働率が長期的に低迷している時の対応はどう考えるべきなのでしょうか。
例えば、こちらの図のように、当初計画に対して数ヶ月間連続で稼働率が50%前後であり、今後も同じ傾向が続くと予想される場合です。

このようなケースの場合には、「受注拡大策を実行して受注を増やす」ことや、「不要設備の廃却や遊休化により、負荷を集約させ、稼働率を向上させる」、等の対策案を考えていくようにしましょう。

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