カイゼンベース / KAIZEN BASE

見かけの能率向上と真の能率向上の違いとは?能率アップを儲けに繋げるための考え方を解説

効率化を進めるためのイメージ画像
藤澤 俊明

藤澤 俊明

代表取締役
シニアコンサルタント

トヨタ自動車の生産技術部門を経験後、製造系大手コンサルティングファームを経て2015年にカイゼンベース株式会社を設立。国内外の製造業を中心とした人材育成・改善支援に尽力中。

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見かけの能率向上と真の能率向上の違い

現代は、造れば造るほど売れる時代ではありません。本ページでは、このような時代における、見かけの能率ではなく、真の能率向上を目指す考え方について解説しています。

増産時代の能率向上

まずは、「増産時代の能率向上」についてです。

例えば、10人で1日100個の生産が出来る生産ラインがあると仮定します。

このラインを、改善していくことにより、10人で1日120個の生産が出来るラインとなりました。

これは、能率20%アップになります。

10人で1日120個の生産が出来るラインへ改善

本当に儲けに繋がるのか?

そして、生産計画(販売計画)が120個に増産する場合、人数を増やさずに生産台数がアップするので、これは儲けに繋がります。

しかし、ちょっと考えてみましょう!

生産計画(販売計画)が100個のままの場合、あるいは、80個に減産する場合、これは本当に儲けに繋がるでしょうか?

本当に儲けに繋がるでしょうか?

これが見かけの能率向上

イメージ図で確認してみましょう。

1日8時間、10人で100個を製造している工程において、20%短い時間で作業ができると、余力時間が生まれます。

この余力時間を増産へ活用することが出来れば、当然能率は向上します。

しかし、増産が出来なければ、ただ余力時間、つまりムダが発生するだけなのです。

これが、見かけの能率向上なのです。
会社収益に繋がらない見かけの能率向上で満足してはいけません。

これが見かけの能率向上!

必要以上に造ってはいけない

そして、減産時は、いくら沢山造れるからと言っても、必要以上に造ってしまうと1日に何十個も余ってしまいます。

必要以上に早い段階でつくってしまうと、「材料費、労務費の先食い」になります。
そして、在庫が溜まってしまう状態になると、「保管スペースの増加」「在庫管理のための人員の発生」に繋がります。

つまり、かえってコスト高になってしまうのです。

そう、これでは改善ではなく、改悪です。
これからの時代、造った分だけ売れることのほうが珍しいと思っておかなければいけません。
それどころか、少し市場環境が変化しただけで、大きな減産になることも珍しくはないのです。

これでは改善ではなく、改悪!

減産時代の能率向上の考え方

それでは、「減産時代の能率向上の考え方」について確認しましょう。

少ない人数で同じ数を造れるようにする

生産必要数が同じ、あるいは減産の時、能率向上を儲けに繋げるにはどうすればよいのでしょうか?

それは、少ない人数で100個を造れるように改善を進めるのが正解です。

必要数が100個の場合、10人で120個造れるようにするのではなく、8人で100個を造れるようなアプローチで改善を行なっていかなければなりません。

能率向上を儲けに繋げるにはどうすればよいか?

もう一度、先程のイメージ図で確認してみましょう。

とにかく短い時間で造り終えようとするアプローチは、余力時間というムダの1種が生まれるだけなので、NGです。

また、必要数以上に造りすぎることは、新たなムダを生んでしまうため、NGです。

そう、やはり正しい姿は、8人で必要数を決められた時間で造らなければならないのです。

これが正しい姿

減産時代における、見かけの能率向上と真の能率向上

それでは、減産時代における、見かけの能率向上と真の能率向上についてまとめていきます。

まず、現在が10人で1日の必要数100個造っている状態だったとすると、10人で1日120個造れるように改善すること、これが見かけの能率向上です。

そして、8人で1日100個造るのが、真の能率向上なのです。能率を上げていく上では、あくまでお客様に購入して頂ける台数が前提条件にあります。
自分達の職場、工程だけを考えて、ニーズ以上の生産を追い求めていっても、会社の利益には繋がりません。

お客様のニーズを確実に押さえた上で、全体最適で能率向上を進めていかなければいけないのです。

真の能率向上

見かけの能率向上と真の能率向上のポイントのまとめ

以上で学んだことをまとめてみましょう。

見かけの能率向上と真の能率向上とは

  • 減産時代では、材料費、労務費の先食い、保管スペースの増加、管理人員の発生に繋がり、余計なコストが掛かってしまう
  • したがって、造れる分だけ造ってしまうと、コスト高になってしまう
  • 見かけの能率向上とは、顧客ニーズを考えず、とにかく沢山造れるような能力UPの改善だけを推進すること
  • 増産が求められる場合には、能力増強の改善はもちろん有効。ただし、販売数が横ばいあるいは減産の状況下では、少ない人数で必要数を造れるような改善を推進していかなければいけない
  • 真の能率向上とは、お客様のニーズを確実に押さえた上で全体最適で能率向上を進めていくこと
  • 自分達の職場、工程だけを考えて、ニーズ以上の生産を追い求めていっても、会社の利益には繋がらないと肝に銘じておくことが大切

いかがでしたか?トヨタ生産方式の基本思想、2本柱(ジャストインタイム、ニンベンの付いた自働化)の概要はイメージできましたか?ジャストインタイム、ニンベンの付いた自働化に関する詳細については、下記のページで解説していますので、更に深く理解した場合は、こちらを参照してください!

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