講座ナビ
第1章:トヨタ生産方式とは(基本思想と2本柱)
第2章:ジャストインタイム生産とは
第3章:ニンベンの付いた自働化とは ※無料会員以上限定
第4章:ジャストインタイムと自働化の関係 ※法人会員限定
第5章:かんばんの基本について ※無料会員以上限定 ⇒ このページはココ
第6章:平準化について(前編) ※無料会員以上限定
第6章:平準化について(後編) ※法人会員限定
第7章:7つのムダとは
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「かんばんの基本について」スライド講義
第5章目次
1.かんばんとは
2.かんばんの役割
3.かんばんの基本ルールと前提条件
4.かんばんの種類
5.かんばんの運用方法
6.第5章まとめ

1.かんばんとは

トヨタ生産方式の2本柱を成立させるためのツールの1つ
トヨタ生産方式の2本柱であるジャストインタイムとニンベンの付いた自働化を成立させるためのツールの1つです。

トヨタ生産方式の2本柱は、ジャストインタイムとニンベンの付いた自働化です。
ジャストインタイムは、「必要なモノを 必要な時に 必要な分だけ」を意味しています。
ニンベンの付いた自働化は、「異常や問題があればその場で止まる、判る」ことを意味しています。
この2つの柱をカイゼン・改革の切り口とし、阻害要因を1つひとつ知恵を出して解決することで、徹底的なムダ排除による原価低減を実現すること、これがトヨタ生産方式の目的です。

当然のことながら、ジャストインタイムとは、「造りたいモノを、造りたい時に、造りたい分だけ」造ること、ではありません。
「供給したいモノを、供給したい時に、供給したい分だけ」運搬すること、これも間違いです。
正解は、「必要なモノを、必要な時に、必要な分だけ」造るあるいは運搬することです。
ジャストインタイムには3原則と呼ばれるものがあります。
それは、後工程引取り、工程の流れ化、必要数でタクトを決める の3つです。
この中で、かんばんは、後工程引取りを正常に機能させるために大きな役割を果たします。

かんばんの生い立ち
かんばんが始まったのは、今から60年以上前の昭和28年頃と言われています。
当時は、自動車工場でも在庫は至る所に山積み状態でした。
例えば、鋳造工程から機械加工工程への粗材や、エンジン組付工程から車両組立工程へのエンジンの完成品などです。

後工程引取りの誕生
在庫の運搬に関して2つの指示を出したのです。
1つ目は、あらゆる在庫は、後工程が取りに行くまでは運ばないこと。
2つ目は、在庫にはそれが何なのか明示することです。
これが後工程引取りの誕生です。

2.かんばんの役割

大きく分けて3つの役割
1つ目は、運搬や生産の指示としての役割です。
2つ目は、目で見る管理としての役割です。
3つ目は、カイゼンの道具としての役割です。
もう少し詳細を確認していきましょう。

運搬や生産の指示としてのかんばん
かんばんには引取りや運搬指示に関することが記載されており、情報をやりとりすることができます。これにより、後工程引取りのためにタイミングを計ることが可能になります。
また、生産指示情報も記載されているため、前工程はかんばんが外れた分だけ造ればよいため、生産管理が非常に楽になります。

目で見る管理としてのかんばん
かんばんが無い時は造らない・運ばないので、造りすぎや運び過ぎを防ぐことが可能になります。
また、必ず現物にかんばんが付いていることで、誰が見てもそのモノが何か一目で分かり、現物票としての役割も果たします。

カイゼンの道具としてのかんばん
かんばんは必要な数のみが記載されており、かんばんに記載されている以外の余分な在庫は運んではいけません。
それにより、不良品が度々混ざっていると、前工程はしょっちゅう不足分を補充しに行かなければいけません。
つまり、不良品を出した工程が「痛さ」を感じる仕組みにより、自工程保証が推進されます。
また、在庫管理や問題を顕在化するためにも、当然かんばんは役割を発揮します。
かんばんの枚数を減らしていくことで、問題が顕在化され、異常が少ない高レベルなライン実現が可能になるのです。

3.かんばんの基本ルールと前提条件

かんばんの主な3つのルール
1つ目は、「使い始めにかんばんを外し、速やかにポストへ入れる」ことです。
かんばんを外し忘れると、前工程はまだ未使用であると判断し、次回未納入となります。
そして欠品やラインストップに繋がってしまいます。
外し忘れが発生しないように、教育がしっかりと出来ていることが重要です。
2つ目は、「小刻みに回収する」ことです。
大きなロットで運搬することは、在庫過剰やリードタイムの悪化の原因になります。
可能な限り小刻みに回収し、在庫低減やリードタイム短縮に繋げることが重要です。
当然ながら、かんばんがポストに溜まる状態は厳禁です。
3つ目は、「等ピッチで回収する」ことです。
回収ピッチが大きくバラツクと前工程は欠品のリスクが高くなり、それを回避しようと余計な在庫を持つことに繋がってしまいます。
また後工程は、生産の先食いや大きな遅れの後の急激な追い込みは避けなければいけません。

かんばんの前提条件は、後工程が平準化されていること
この平準化は、ジャストインタイム生産が成立するために非常に重要です。平準化の必要性については、「第6章:平準化の考え方」の講義で詳細を学習していきます。
