第4回:管理職(40代~50代)のいい加減さを正す!【製造業の若手育成:成功への7つの秘訣】

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製造業の若手育成:成功への7つの秘訣の4つ目を解説

はじめに

若手の育成。あらゆる会社において共通の課題ですよね。
近年では人材不足が深刻化しており、「採用する人を選べない」状況が常態化しています。

このような環境下で、我々はどんなことに取り組んでいけばよいのでしょうか?

第4回のコラムでは、製造業の若手育成に関する成功への7つの秘訣の4つ目「管理職(40代~50代)のいい加減さを正す!」について解説していきます。
若手社員がイキイキと働くことができる企業を創るきっかけとしていきましょう。

カイゼンベース株式会社 田辺純先生富士生涯教育大学校・人間共育学部
カイゼンベース株式会社 監査役
田辺純先生

1.単なるやり方や方法では教えられない(なぜ技術が必要なのか?を伝える)

本コラムも全7回のうち丁度中間点に差し掛かりました。
そろそろ最も本質的な問題点を明らかにすると共に、その根本原因を解決に導く解説に入りましょう!

過去3回は若手人材にフォーカスを当てて来ましたが、今回は別の角度から考えてみます。

とある大手グループ企業でも長年に亘り、若手技術者の早期育成・戦力化は最大の教育テーマであり、そのための若手教育には実は莫大なコストと時間を割いて来ました。それにも関わらず、相も変わらず優秀な若手人材は転職する事が「まるでキャリアパス(仕事人生の経路)」だと言わんばかりに、30代前半で流出しています。

確かに能力開発体系の整備や、キャリアパスの具体化、更にキャリア開発の上司との育成面談まで、人事制度面ではお膳立てしています。しかし、その全てを台無しにしてしまうのが、直属上司でありOJTトレーナーであるベテラン技術者なのです。

その実態調査を簡潔に整理してみましょう。

能力開発体系が上手く機能しない原因探求のまとめ

  • 直属上司は、新しい制度が持つ意味合いや重要性を理解せず、従来と同じ方法だけを伝えて育成していると思い込んでいる
  • 直属上司は、部下の育成責任は自分にあるとは認識しておらず、OJTトレーナーに丸投げしている
  • 直属上司は、部下の育成や将来への希望を聴く耳持たず「ずっとこの部署で働くこと」を前提にしている(塩漬け状態を要求する)
  • ベテランのOJTトレーナーは、作業のやり方や方法は教えるがその目的や意義は伝えていない
  • ベテランのOJTトレーナーは「質問するな!」と言い「見て学べ!」と強要してくる(質問する前に手順書を読めと突き放す)

ここに致命的な根本原因を発見する事になるのです。
「上司やOJTトレーナーは、過去に人材育成をされた経験がなく、当然現在もどうやって人材育成をすればよいのか?を学習していない」と言う事です。

経営者の皆さんも胸に手を当てて考えてみて下さい。

自己診断(教育への誤解と偏見)

以下の質問に回答してみて下さい。次のような若手技術者の育成に関する誤解と偏見を持っていませんか?

  • 現場に行けば自然と仕事ができるようになる
  • 職人(現場作業者)は徒弟制度で育成しているはず
  • マニュアル(手順書)を与えればできるはず
  • 営業マンや管理部門のように教育研修を外部に委託する必要はない
  • 新入社員教育(数日~数週間)さえやれば後はどうにかなる

現場調査をしてみると、何と管理者・ベテラン・30代後半(もう諦めた世代)の大半が5つの質問に該当しているのです。

つまり、技術のやり方や方法を教えれば良いと思い込み、その技術が持つ意味合い、目的や「なぜ?それが有効なのか」と言う技術の背景等を伝えていないのです。知識労働者(自分で考えて工夫する)ではなく、作業労働者(指示されたことを単純に繰り返す)を育てる方法を未だに繰り返しているのです。

そろそろ読者の多くの方が気付いているのではないでしょうか?
「知識労働者」が求められている現代にありながら、未だに「作業労働者」を強要する上司やベテランには、「若手人材はそもそも従うつもりがない」のです。

お分かり頂いたように「優秀な若手人材がこぞって退職する理由」はここにあります。極論すると「長時間かけて無能化されること」を回避しているのです。
しかも間もなく現場に「ロボット」や「AI」が持ち込まれてきます。それを予測する彼らは急いで逃げ出しているのです。

経営者や管理者自身が意識の転換をしない限りは、人手不足倒産は回避することはもはや不可能です。作業労働者(単純作業の反復)は10年後には大半がロボットやAIに取って代わられるのに、未だに作業労働者を育成するつもりなのでしょうか?

とは言え、その方法しか知らないのならば、どうしようもありません。

2.自分が習得した学び方や方法ではなかなかうまくいかない

ではここでまた確認をしてみましょう。

自己診断(製造業特に中小企業での実情)

以下の質問に回答してみて下さい。あなたは何個該当しますか?

  • 知識労働者と言う言葉の意味をよく知らない
  • 自社には作業労働者しかいない(基本的に単純労働の反復)
  • 自社の仕事はロボットとは関係がないし今後導入される見込みもない
  • 今更知識労働者だの言われても、管理者もそうではないし仕方がない
  • 現状維持の延長以外想像したこともない

恐らく多くの製造業特に中小企業の多くでは、この質問に全問チェックを入れる状態でしょう。そうならば、10年後には大半の会社は存続することが非常に難しいと言わざるを得ません。

経営者や管理者の育ってきた環境と、現在の若手人材の環境は全く違います。自分が習得した学び方や方法ではなかなかうまくいかないと言う認識を持つべきでしょう。

そもそも知識労働者の育成方法など聞いたことも見たこともないはずです。「自社は中小企業だから知識労働者なんか必要ない。」と思っていませんか?「必要なのは手や足であり、頭では何も考えずに指示された事だけやってくれればよい。」と考えていませんか?

これからは劇的変化の時代です。明治維新並みの環境変化が必ず起きます。

2030年以降・日本の製造業に起きる近未来予測

  1. 第4次産業革命(自動化・無人化)の激変の波に飲み込まれる
  2. 単純作業労働者の仕事は、その大半が自働化され居場所がなくなる
  3. 業務改善や事業改革をする事が主要な仕事になり知識労働者が必要になる
  4. 外国人労働者が大量雇用され外国語対応が必須になる(自動翻訳機が活躍)
  5. 男性優位職場に「女性進出」「外国人進出」「障害者進出」「高齢者進出」が起こり、多様性(様々な雇用形態やワークシェアが混在する)が当たり前になる
  6. 製造現場にそもそも徒弟制度(見て学ぶ・技術を盗む)は必要なくなる
  7. 現場にいて監視役をしているような管理者等は不要になる(AI管理化)
  8. 現在製造しているような「大量複製品」は急激に減少して「オーダーメイド」製造や「カスタマイズ」製造が当たり前になる(そこではむしろデザインセンスや新製品の発想が求められる)
  9. 製造業が次第にサービス業化し始める(ただ作って売るだけではなくなる)
  10. 製品・商品の流通機構が激変してしまい直販形態(消費者対応)が増加する

これほど激変する社会の中で、今の経営者・管理者の意識はついて行けるのでしょうか?極めて疑問になってしまいます。急速に変化している社会を敏感に感じている若手人材は、もはやそれについて行くことができない経営者・管理者・ベテラン技術者を見限って行くのは明確でしょう。経営者・管理者・ベテラン技術の意識変革待ったなしの状態になっています。恐らく5年以内に自分から率先して意識変革しなければ、若手人材はほぼ全員が自社を去ることになると予測されます。

3.解決の処方箋!若手自身に「目的」を与えて手段(やり方・方法)を考えさせる

では再び整理しましょう。

いま起きている重大な問題点

  • 問題点①:作業労働者の育成方法しか知らない経営者や管理者には若手人材を教育する事がほとんど不可能になっている
  • 問題点②:今後の製造業に求められる知識労働者はどういう育成方法が必要なのか?不明のままになっている
  • 問題点③:気が付いているのは若手人材の方で管理者やベテラン技術者の方はこのギャップに気が付いてもいない
  • 問題点④:いずれかの方法で製造業の若手人材の育成方法を早急に学ぶべきだが、それがどこにあるか知らない(誰から学べばよいのか不明)
  • 問題点⑤:次第に手遅れになりつつあるが、解決策を見いだせないでいる

いかがでしょうか?
正に自社の現状そのものだと実感されることでしょう。
来る知識社会がどういう社会なのか?は、まだ正確には予測しきれません。あまりに現状維持とは異なるので、どこまで実現するかまでは測定しきれないのでしょう。

しかし、一つだけ明確な事実、変えようのない事実があります。それは、

「現在の若手人材(20代~30代)は、100%確実にこの激変の中に放り込まれる。もはや逃げ場さえない。」

そこで私はある製造業の中堅中小企業で若手人材(20代~30代)に、この明確な事実を伝えて1年間彼ら自身がこの激変をどうやって乗り越えるのか?を考えさせました。

「次世代人材養成講座」「次期技術管理者養成塾」と言う名目で、1年間3班に分かれて毎月1日の連続講座を開催しました。若手人材が自分自身でどうやってこの激変を乗り越えるのか?と言うテーマ(目的)を与えられ、その解決手段を徹底して考えて解決の方向性を模索したのです。

若手人材が激変を乗り越えるための解決手段

  • 能力開発体系(教育研修体系)の構造設計
  • それを人事評価制度・処遇にどう連動させるのか
  • OJT主体(徒弟制)の学習から「小集団現場研修」への改革
  • 経営者・管理者への提言制度の改革
  • 新規事業創造への取り組み

20代後半チーム、30代前半チーム、30代後半チームの3班体制で丸1年間実施しました。その小集団現場研修を人事教育コンサルタントとして、徹底的にサポートしたのです。その結果は、

最優秀な提言や具体的改善改革の成果を出したのは、なんと20代後半チーム(4人)でした。30代前半チーム(6人)、30代後半チーム(5人)よりも断然素晴らしい成果を上げたのです。

ではなぜそうなったのでしょうか?
その後の受講者のヒアリングで判明したのは、危機意識の度合いだったのです。

若いチームほど「このままでは行き詰まる」と言う既存事業の先細り感が明確にあり、さっさと転職するか?または1年間コンサルタントと一緒に解決策を遣り抜くか?と言う二者択一の中での「真剣みが違っていた」のです。

逆に年齢が上がるごとに、転職意欲が薄れて一種の諦めモードになっている様子が伺えました。「もう転職できる年齢じゃないし。」とか「何をやってももう手遅れなのかも。」とか愚痴や自己卑下が見受けられました。

まだ東京五輪景気があり完全に不況になっていない段階でもそうなのです。
これが2021年以降に東京五輪後の大不況が押し寄せれば、もはや手遅れとなりかねません。後2年間です。打ち手がある段階で改善改革に着手するか?ここは経営者・管理者の判断の問題になります。

4.本ページのポイントまとめ

では、第4回のコラムで重要な5つのことについて振り返りしてみましょう。

  1. 能力開発体系が上手く機能しない原因探求のまとめ
  2. 自己診断(教育への誤解と偏見)
  3. 自己診断(製造業特に中小企業での実情)
  4. 2030年以降・日本の製造業に起きる近未来予測
  5. 若手人材が激変を乗り越えるための解決手段

第4回のコラムは以上となります。第5回のコラムでは、製造業の若手育成に関する成功への7つの秘訣の5つ目「経営者が抱える技能継承への思い込みを捨てる!」について解説していきます。

本気で若手社員を活かすための企業改革をお手伝いします!

若手社員や次世代管理者の育成のためには、社内の風土改革はもちろん、人事制度改革も含めて検討していかなければなりません。しかし、経営者・幹部だけでは過去のしがらみやベテラン社員への必要以上の忖度が働いてしまい、上手く進められないことも多いのが実情です。

カイゼンベースでは、経営コンサルタント(人事のプロ+生産のプロ)が貴社の企業改革・工場改革を二人三脚でサポートします。

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カイゼンベース株式会社 田辺純先生富士生涯教育大学校・人間共育学部
カイゼンベース株式会社 監査役
田辺 純

講座監修者・コラム執筆者のプロフィール

コンサルタント歴26年!未来の希望と未知開く勇気を全てのクライアントから引き出すことを誓約している組織開発コンサルタント。新入社員教育、一般&中堅社員教育、管理者教育、部門長教育のプログラムのオリジナル開発、新規事業構想や次期技術幹部の養成、人事制度改革や営業&マーケティング改革、技術経営~ビジネスプロセスリエンジニアリング等、360度広角の圧倒的に広い専門領域を持つ唯一無二の存在。


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カイゼンベース株式会社 藤澤カイゼンベース株式会社
代表取締役CEO 藤澤 俊明

講座監修者・コラム執筆者のプロフィール

東京理科大学大学院修了後、トヨタ自動車(株)では生産技術部門で新規生産ライン構築や海外工場立上げ等に従事。その後製造系大手コンサルティングファームを経て独立。自動車部品工場、組立工場、鋳造工場、食品、化学プラント等、幅広くコンサルティング実績を積み重ねている。2015年にカイゼンベース株式会社を設立し、人材教育等の現場力・カイゼンの発展に向けて活動している。


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