第3回:若手社員(20代~30代)を簡単に退職させない!【製造業の若手育成:成功への7つの秘訣】

製造業の若手育成:成功への7つの秘訣の3つ目を解説

はじめに

若手の育成。あらゆる会社において共通の課題ですよね。
近年では人材不足が深刻化しており、「採用する人を選べない」状況が常態化しています。

このような環境下で、我々はどんなことに取り組んでいけばよいのでしょうか?

第3回のコラムでは、製造業の若手育成に関する成功への7つの秘訣の3つ目「若手社員(20代~30代)を簡単に退職させない!」について解説していきます。
若手社員がイキイキと働くことができる企業を創るきっかけとしていきましょう。

カイゼンベース株式会社 田辺純先生富士生涯教育大学校・人間共育学部
カイゼンベース株式会社 監査役
田辺純先生

1.若手社員は自分が将来どういう立場になれるのか不安に思う

私は仕事柄多くの企業の若手人材と接しますが、彼らの偽らざる本音は「自分の将来不安」にあります。今回は、大企業と中小企業の若手社員の私なりの分析をした結果を今回はお伝えしたいと思います。

まずは次の自己診断にあなたならばどう回答しますか?試みにやってみましょう。

自己診断(周囲には伝えていない内心の気持ち)

自分が本音ではそう感じているが、周囲には伝えていない内心の気持ちは?

  1. 就職活動の時はあまりよく分からなったが、実際に入社したら「全く想像していたこととは違っていた」と思う
  2. 1年目は無我夢中にやり遂げたが、2年目になると既に将来の事が見えてしまって「このままここで働いても良いのか?」と思う
  3. 仕事そのものがやりたい仕事ではなく、自分以外でもできる内容の反復にすぎないので「自分の成長を実感できない」と思う
  4. 会社に所属したら「もう自分の自由がほとんどない」と実感するので「できればもっと自由に働けるところへ行きたい」と思う
  5. 10年先の自分の姿を「この職場の中に描くことができない」と感じ、「自分らしく働ける場を探そう」と思う
  6. さぁ、もしあなたが若手人材ならばどうですか?

    ①、③、⑤は、「中小企業の若手社員」がコーチングの折に内心を語る部分です。
    ②、④は、「大企業の若手社員」がコーチングの折に吐露する部分です。

    ①は、インターンシップ等の現場体験があれば、そうならずに済んだはずです。
    ③は、単純作業に飽きると言うことらしく、次の成長過程を示すことなく指示された範囲しかできないことから起きています。いつまで単純作業だけするのか?と言う不安感ですね。
    ⑤は、特に技術志向が強い若手社員に多いのですが、現場の古臭さ(徒弟制度)に失望してしまい、そもそも仕事自体に魅力を失ったせいです。

    要するに「将来への道筋を示すこと」が出来ていないから、将来に不安と失望を抱いていると言うことでしょう。つまりOJTだけでは解決不能なのです。

    次に大企業の若手社員は、どうでしょうか?
    ②は、先輩や上司のマンネリ感に満ち満ちた「惰性の日々」に失望しているようです。「ああはなりたくないですよね。毎日不平や不満を口にして、つるんでやけ酒を飲んでいる生活嫌です。」と先輩たちの言動に目が行っているようです。
    ④は、いかにも大企業らしい反応です。自由がなく常に監視されており、監視役にも更に監視がついている。社員の不正行為を取り締まることが優先されている。決まりきったこと以外は口にすることも、次第に考える事もできなくなっていくのです。「人目が気になり、いつも息苦しい職場です」とさえ言います。
    本心や本音は口に決してできません。つまり人間不信が根底にあるのです。

    大企業の場合は「自由を束縛される代わりに安定した生活と報酬を補償してもらう」と言うことになります。ある意味もう諦めるしかありません。

    しかし、「大企業も中小企業にも共通する事」があります。
    それは「優秀な若手人材ほど、この将来不安によって簡単に退職してしまう」ということです。

    大企業の中にある「大企業病」を嫌い、もっと自由に働きたいと願望する若手社員はベンチャー企業に20代で転職します。ベンチャー企業には、多数の監視役はいません。仕事はキツくてもやりがいがあり、人間関係もむしろ家族的なのです。

    中小企業の若手社員は、現場の徒弟制度的な「見て学べ」とか「技術を盗め」と言う放任OJTを嫌い、もっとキャリア(仕事人生)のステップが見える教育課程や体系的な能力開発制度がある会社へと転職します。

    要するに「成長欲求」と「成長機会」がマッチすれば、若手人材は簡単には退職しないのです。それを知らずに「俺の若い時はこうだったんだ。」とか「誰も技術なんか教えてくれなかった。」とか言う上司に若手人材の育成を任せておいて良いのでしょうか?危険だと言う事実を認識するべきでしょう。

    では、整理してみましょう。

    若手社員が抱く転職へと加速する悩み(その本質的な部分)

    • 自分の「成長欲求」を満たすような職場ではない(先輩上司を軽蔑)
    • 自分の「成長機会」が得られるまでの期間が分からない(ずっと先?)
    • 自分の自由が束縛される(自由にトライできない・自由に考えられない)
    • 自分の描く「自分らしい働き方」を束縛されており、ここでは実現できない
    • 自分のやりたいことができない(残業や休日出勤が多く自分の時間がない)

    どうでしょうか?このような若手人材をどう会社に慰留する事が出来るでしょうか?何の手も打たなければ、退職防止も出来ないままにただ優秀な若手人材が退職するだけなのです。そしてもう間もなく若手人材を中途採用する事が不可能な状況になってきます。
    その結果、将来的(5年~10年先)には人手不足倒産が確定してしまうのです。

    2.先輩依存から早期に脱却して「自立した技術者」になる道筋を知りたい

    このような悩みを若手人材から多くヒアリングします。
    私の仕事は「人事教育コンサルタント」ですので、このような若手社員の退職防止に繋がる人事政策や教育体系や若手人材用の能力開発体系(キャリアラダーシステム=1年目~10年目までの仕事人生を階段方式に整理して、自分のペースで上って行くことができる制度=医師や看護師の業界では当たり前の制度)を設計して、オリジナルの社内教育プログラムを制作します。

    つまり「先輩依存を早く脱却したい」(OJT依存)「自分さえ頑張ればいち早く自立した技術者や管理者にもなれる道筋が欲しい」と言う願望を叶えて行くのです。

    こういうと「うちには立派なOJTの技術マニュアルはある」と反論する方々がいますが、「技術マニュアル」(手順書)を与えてもあまり若手人材の悩みは解消しません。若手人材が知りたいのは「将来への道筋」なのです。

    少し専門的な言葉で言うと「キャリアパス(仕事人生の設計図)」が欲しいのです。そういうと「うちは中小企業だから、一生同じ部署になる」と言う方々もいることでしょう。同じ部署でも、期待される役割や果たすべき責任、さらには求められる意識や模範的行動や、その実現を下支えするスキルマップ等が必要なのです。

    そういう「仕事人生(キャリアパス)」を見えるようにすることが、2020年代には中小企業や零細企業にも必要になります。いやむしろ、それが整備されていない会社にはもう若手人材は入社しないし、仮に入社しても数年以内には確実に退職するようになります。
     
    働き方改革関連法案は、単に「残業削減」や「休日出勤の削減」を指示するものではなく、従業員のより「多様な働き方(自分なりに選択する幅がある働き方)」ができる職場を求めているのです。

    では、整理してみましょう。

    自立した技術者になる道筋を示す方法

    • 若手を対象とする「能力開発体系」の整備をする
    • 具体的には「キャリアパス(仕事人生)の道筋」を会社として提示する
    • キャリアラダーシステム(階段状の成長過程)を設計する
    • 単なるOJTには依存しない「多様な働き方」を若手社員自身が選択できるようにする
    • 技術ばかりではなく、従業員のより多様な能力を引き出してゆけるように「人事評価制度」へも連動させる

    これらの取り組みは、恐らく社内だけでは対応できないことが多いと思います。そもそも管理者や経営者自身が、そういう育成の仕組みを自分自身が経験していないので、どうやれば良いのか?が不明だからです。

    3.解決の処方箋!自分の仕事と人生プランを設計する!

     
    私がここ数年非常に多く手掛けてきているのが、正にこのような「人事教育コンサルティング」なのです。

    ただし勘違いしないで下さい。最近流行しているような「働き方改革法による残業代削減・休日出勤削減の為のコンサルティング」ではありません。確かに経営的には必要ですが、単に「残業削減」に走ると若手人材の退職・流出が加速しかねません。

    「労働時間を短くする」と言うのではなく、「特に若手社員の能力開発のスピードアップを図り、労働生産性そのものを高める」
    ことで、当たり前のように労働時間が減少し、その分の生産性向上を報酬として若手人材に還元すると言う、より抜本的な制度改革が必要となります。

    若手人材の活性化をしないままに、残業時間の削減や休日出勤の削減をすれば、ただでさえ低い若手人材の手取り額が大幅に減少してしまいます。優秀な若手人材ならば、より高い報酬を求めて転職活動を開始します(むしろそれは必然です)。今までと同じように働いて、残業代や休日出勤代が制限されたり削減されたりすると、家計に響くし住宅ローンさえ払えなくなります。今までの働き方を変えままで、結果だけを求めようとすることに問題があります。

    解決への処方箋

    以上ことを解決するためには、これらのことを十分に理解した経営者が抜本的な取り組みを始めることが必要ですが、それが出来ていれば現在の危機的な状態には陥ってはいないでしょう。従って、現実的には、私のような人事教育コンサルタントが個別に面談して、若手人材の仕事と人生の長期的なプラン作りをサポートすることが一番有効な手段となります。

    つまり、若手人材のキャリア開発面談を行なうということです。先ずは数人から「現状の職場ヒアリングを実施」することから開始します。この調査段階では、外部コンサルタントも比較的に安価に活用することができるでしょう。前半で事例を提示した「若手人材の本音」とは、こういう生々しい「現場ヒアリング」の中からしか引き出されない部分なのです。

    事前調査として半日(3時間)で若手人材3人ほどヒアリングを実施して、内容を整理して後、後日半日(3時間)で若手人材の上司(管理者やOJT担当者)3人にもヒアリングを実施します。

    このようにして先ずは人事教育コンサルタントが直に「若手人材」と「管理者」にヒアリングをする事で、両者が抱く「心理的なギャップ」を抽出する事が出来るのです。

    明確化してくる事としては、次のようなことになります。

    • 若手人材の本音
    • 若手人材へのOJTの実態(実質的に指導育成がされていない場合が多い)
    • 若手人材が望む仕事人生や自分のライフスタイルへの道筋(ありたい姿)

    これらがわずか2回の訪問やヒアリングで明確化するばかりではなく、その危険性(経営的なリスク)も露わになってきます。経営層も「うすうすそうかなぁと感じていた」と言う実態や懸念が、白日の下になるためもう放置する事は出来ません。

    当然ながら社内の管理者や経営者がヒアリングをしても、そんな生々しい事は決して露出しないことは事実として認識せねばなりません。優秀な若手人材は、それよりも早く転職する方を選択します。そのために人事教育コンサルタントが存在していますので、活用しない手はないのです。

    現在の市場環境は、ある意味ではもう待ったなしのところに来ています。だからこそ経営者が本気になって若手人材の育成や処遇改善に取り組まなければ、やがては「人手不足倒産」になってしまいます。今が最後のカイゼンの機会であると捉えて一歩を踏み出しましょう!

    4.本ページのポイントまとめ

    では、第3回のコラムで重要な3つのことについて振り返りしてみましょう。

    1. 自己診断(周囲には伝えていない内心の気持ち)
    2. 若手社員が抱く転職へと加速する悩み(その本質的な部分)
    3. 自立した技術者になる道筋を示す方法

    第3回のコラムは以上となります。第4回のコラムでは、製造業の若手育成に関する成功への7つの秘訣の4つ目「管理職(40代~50代)のいい加減さを正す!」について解説していきます。

    本気で若手社員を活かすための企業改革をお手伝いします!

    若手社員や次世代管理者の育成のためには、社内の風土改革はもちろん、人事制度改革も含めて検討していかなければなりません。しかし、経営者・幹部だけでは過去のしがらみやベテラン社員への必要以上の忖度が働いてしまい、上手く進められないことも多いのが実情です。

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    カイゼンベース株式会社 田辺純先生富士生涯教育大学校・人間共育学部
    カイゼンベース株式会社 監査役
    田辺 純

    講座監修者・コラム執筆者のプロフィール

    コンサルタント歴26年!未来の希望と未知開く勇気を全てのクライアントから引き出すことを誓約している組織開発コンサルタント。新入社員教育、一般&中堅社員教育、管理者教育、部門長教育のプログラムのオリジナル開発、新規事業構想や次期技術幹部の養成、人事制度改革や営業&マーケティング改革、技術経営~ビジネスプロセスリエンジニアリング等、360度広角の圧倒的に広い専門領域を持つ唯一無二の存在。


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    カイゼンベース株式会社 藤澤カイゼンベース株式会社
    代表取締役CEO 藤澤 俊明

    講座監修者・コラム執筆者のプロフィール

    東京理科大学大学院修了後、トヨタ自動車(株)では生産技術部門で新規生産ライン構築や海外工場立上げ等に従事。その後製造系大手コンサルティングファームを経て独立。自動車部品工場、組立工場、鋳造工場、食品、化学プラント等、幅広くコンサルティング実績を積み重ねている。2015年にカイゼンベース株式会社を設立し、人材教育等の現場力・カイゼンの発展に向けて活動している。


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