ブルーオーシャン戦略は、「競争のない市場を創る」ための、有名なフレームワークです。ブルーオーシャン戦略の特徴やデメリットも含めて学習し、自社の経営戦略にも活かしていきましょう。
「未開拓市場を創る!ブルーオーシャン戦略とは」動画講義
「未開拓市場を創る!ブルーオーシャン戦略とは」スライド講義
1.ブルーオーシャンとレッドオーシャン
ブルーオーシャンとは、日本語で青い海、つまり競合相手のいない領域・市場のことで、今だに手付かずの未開拓な市場や新規参入がない新しい市場のことを指します。
一方、レッドオーシャンとは、日本語で赤い海、つまり競争が激しい領域・市場のことで、広く開拓され、勝者が目まぐるしく入れ替わる市場、新規参入が激しい市場のことを指します。
今回は、この2つのうちの「ブルーオーシャン」を目指す戦略がテーマです。

2.ブルーオーシャン戦略とは
ブルーオーシャン戦略とは、「競争が激しい業界から離れ、競争が無い新市場を作り出すための戦略」のことです。
もう少し詳しく確認してみましょう。

戦う土俵そのものを変える発想を
ブルーオーシャン戦略では、過当競争を避けるために、「戦う土俵そのものを変える発想」をするのが基本となります。
多くの企業は、無駄な競争を回避すべきと、分かっているはずではあるものの、実際にはそれを忘れてしまっていることが多々あります。
- 競争に勝つにはどうするか?
- どうやって競合を出し抜くか?
ということばかりを考え、価格競争や性能競争に全ての経営資源を投入し、自らレッドオーシャンを作っていると言っても過言ではありません。
そのような状態では、結果的に得られるものが少ないことは明らかですよね。

競争のない新たな市場を自ら創る
それまでに提唱された戦略論においては、いかに競合を勝ち抜いていくか?という視点のものが主流でした。
キム教授らは、この視点に対し、「競争から抜け出し、競争のない新たな市場を自ら創ることの重要性」を説いています。

代表例:シルク・ドゥ・ソレイユ
当時のサーカス業界は、斜陽産業と言われており、市場は縮小していました。
そこで、シルク・ドゥ・ソレイユは、これまでとは異なる戦略により、成長を目指しました。
シルク・ドゥ・ソレイユは、次のような戦略を取りました。
- 出演料が高いスターではなく、“テーマ”で集客するようにした
- ゾウ等の動物を使わず、人間だけのショーへ変更した
- 子供向けから大人向けのサーカスへ変更した

競争のない新市場で大きく成長
その結果、元々は競合が多数存在する市場で売上げも徐々に落ちていっていた状況が一変し、競争のない新市場(ブルーオーシャン)で大きく成長したのです。
まさにブルーオーシャン戦略のお手本とも言える事例ですね。

3.ブルーオーシャンを開拓するフレームワーク
バリューイノベーションとアクションマトリクス
ブルーオーシャンを開拓するためのフレームワークは沢山ありますが、その中でも代表的なものは次の2つです。
1つは、バリューイノベーションです。
バリューイノベーションとは、業界の競争要因を排除することでコストを下げつつ、業界がこれまで提供しなかった要素を作り上げることで価値を高める考え方となります。
- 業界が当然だと思っている要因の中で、どれか排除出来るものはないか
- 業界の基準を大幅に下回るべきあるいは上回るべき要因はないか
- 業界が今まで提供したことのない要因で何か付加出来るものはないか
という視点で検討していきます。
もう1つは、アクションマトリクスです。
アクションマトリクスは、「取り除く」「増やす」「減らす」「付け加える」という4つの視点からブルーオーシャンを生み出せないかを検討するフレームワークとなります。
アクションマトリクスは別講義にて詳しく説明します。
これらのフレームワークを活用し、ブルーオーシャンを開拓していきましょう。

4.まとめ
ブルーオーシャンはすぐにマネされる
ここまで説明してきたように、ブルーオーシャン戦略は、非常に魅力的な戦略のように見えます。ただし、注意事項があります。
それは、ブルーオーシャンはすぐにマネされることです。
ブルーオーシャンを生み出して競争がない市場で利益を上げていくと、必ず、「そんなに儲かるならうちもやる。」と考える企業が現れます。
すると、ブルーオーシャンだった市場は、いつの日にかレッドオーシャンに変わります。
考えてみれば当然ですよね。競合他社もレッドオーシャンよりもブルーオーシャンに移りたいのは同じなのです。
結果的に、どんなブルーオーシャンでもよほどの独占的な要素が無い限り、競合他社との競争が始まっていくのです。
つまり、ブルーオーシャンは、見つけたらずっと安泰というわけではなく、いずれはレッドオーシャンに変わることも十分考慮しておかなければなりません。
ブルーオーシャンからレッドオーシャンに変化した有名な事例としては、ヤマト運輸があります。
ヤマト運輸は昔、宅急便を発明しました。発明した当時は、ブルーオーシャンであり、ヤマト運輸の独壇場でした。
しかし、その後、競合他社がマネをし、宅急便市場は今やレッドオーシャンに変化しています。

ブルーオーシャンを見つけ続けることが大切
これは幻想であり、ブルーオーシャンを見つけ続けることが大切となります。
更に、いくら新市場を見つけたと言っても、その製品やサービスを「売るスキル」が無ければ何にもなりません。
ブルーオーシャン戦略は、あくまで競争の無い市場を開拓する戦略であり、参入障壁を高めたり、無競争状態を作ったり、販売を促進したりする戦略ではありません。
「新しい市場を見つける」こと以上のものではないことも十分理解しておくようにしましょう。
いかがでしたか?
ブルーオーシャン戦略について概要は理解出来たでしょうか?
「ブルーオーシャン」という聞こえは良い言葉ですが、それだけでは何も生み出されません。
ブルーオーシャンを見つけるために経営陣が自分達でしっかりと頭を悩ませ仮説を立て、どうやって実現していくのかを考え、実行し、結果を検証するというサイクルを回すことが重要なのです。

以上で、「未開拓市場を創る!ブルーオーシャン戦略とは」の講義を終わります。
このコンテンツが、あなたの今後の活動に役立つことを、心から願っています。
引き続き、その他の講義も是非ご覧ください。