経営戦略のフレームワーク

新規参入を考える!ポーターの7つの参入障壁

新規参入を考える!ポーターの7つの参入障壁【経営戦略のフレームワーク】の学習ページです。
マイケル・ポーター教授が提唱した「7つの参入障壁」は、新規事業に進出する際や参入業者から事業を守る際に検討すべき、とても有名なフレームワークです。
7つそれぞれの参入障壁を理解し、自社の事業戦略の立案に活かしていきましょう。

新規参入を阻止!ポーターの7つの参入障壁

カイゼンベース(イラスト)

動画講義

1.ポーターの7つの参入障壁とは

新規参入を阻止!ポーターの7つの参入障壁-スライド5

まずは、ポーターの7つの参入障壁の概要を確認します。

企業が現在営む事業とは別の業界に新たに参入しようとする場合、既にその業界で事業を営んでいる企業の方が優位性があります。

既存業者はこれまでに事業を育てる過程において、多くのコストを支払い経験も積み上げてきています。しかし、新規参入企業では、基本的にはゼロからスタートしなければいけません。既存業者にとっては、これまでに蓄積してきた経験や、業界で築き上げてきた地位・ブランド等の価値が高ければ高いほど、新規参入企業に対する優位性が大きくなるのです。

「参入障壁」とは、新規事業で新しい分野に参入する場合の「障壁」、既存業者が他社の新規参入を阻止したい場合の「優位性・アドバンテージ」のことを指します。マイケル・ポーター教授は、この参入障壁について、「7つの参入障壁の存在」に目を向ける必要があると説いています。

当然ながら参入障壁が高いほど新規参入が難しく、既存業者が有利になることは誰でもイメージは付きますが、ポーター教授はこの参入障壁を7つに分類して考えることを推奨しています。

参入障壁が高いほど既存業者が有利に新規参入を阻止!ポーターの7つの参入障壁-スライド6

参入障壁が高いほど、新規参入が難しく、既存業者が有利になるため、新規事業で新しい分野に参入する場合や、他社の新規参入を阻止したい場合等には、ポーターの7つの障壁を踏まえて戦略を立案することが大切です。

また、この7つの障壁は、競争回避の戦略としても、とても有名で重要な存在です。7つの障壁のそれぞれの意味をしっかりと理解していきましょう。

2.7つの参入障壁の詳細

5つの競争要因を理解する!ファイブフォース分析とは-スライド8

それでは、7つの参入障壁の詳細について確認していきましょう。

7つの参入障壁とは、次に挙げるものになります。
① 規模の経済性
② 製品差別化
③ 巨額の投資
④ 仕入先を変更するコスト
⑤ 流通チャネルの確保
⑥ 規模とは無関係なコスト面の不利
⑦ 政府の政策

それでは、それぞれの意味について確認していきましょう。

① 規模の経済性新規参入を阻止!ポーターの7つの参入障壁-スライド9

1つ目の参入障壁は、「規模の経済性」です。

規模の経済性とは、事業の規模が大きくなるほど、製品やサービス1つあたりのコストが小さくなるような業界の場合、その投資規模が新規参入にあたっての高いハードルになります。

別名、スケールメリットとも言います。

規模が大きくなる程、コストが低くなるような産業構造であれば、小規模な参入が難しくなります。既存業者と同じくらい大きな規模で事業をやらなければ、既存業者と同じ水準のコストで同じ品質の製品を作ることが難しくなるからです。

そのため、始めから大きな規模での参入が必要なスケールメリットが効く業界は、参入障壁が高いことになります。例えば、装置産業や自動化による生産が進んでいるような業界は、規模の経済性が効き、競争上の優位性を持つことが出来る代表例です。

② 製品差別化新規参入を阻止!ポーターの7つの参入障壁-スライド10

2つ目の参入障壁は、「製品差別化」です。

製品差別化とは、既存企業が製品やサービスのブランド力をしっかりと高めておけば、新規の参入には更に高度な差別化が必要となるため、参入のハードルが高くなることを指します。

製品やサービスのブランドを構築するためには、デザイン等の魅力やスペック等の機能、品質、アフターサービス等のPRポイントを顧客にしっかりと伝えなければなりません。そのためには、当然のことながら広告宣伝費等の多額のコストが掛かりますが、既存の企業はそれをこれまでに少しずつ蓄積されているため、今の地位を築けているはずです。

従って、新規参入企業が新たな市場に製品やサービスを投入しようとする場合、既存の企業よりも多くの広告宣伝費等のコストが必要になります。つまり、既存企業が確固たるブランド力を築いている場合は、そのブランド力自体が参入障壁となるのです。

③ 巨額の投資新規参入を阻止!ポーターの7つの参入障壁-スライド11

3つ目の参入障壁は、「巨額の投資」です。

もし新規に参入しようとしている業界が、研究開発や設備投資などの巨額の投資が必要な場合、その投資自体が新規参入にあたっての高いハードルになります。例えば、NTT等の通信業界やJR等の鉄道業界では、初期投資が非常に大きくなります。

従って、参入の場合は、初期の投資を自社で賄うか、あるいは借り入れにより調達しなければいけません。

しかし、当然新規参入の場合は失敗するリスクもあるため、必ずしも借り入れができるとは限りません。しっかりと借入先への投資の妥当性を説明し納得してもらう必要がありますが、それは決して容易なことではないのです。

このように、初期投資やその後の維持管理コスト等が大きければ大きい程、参入障壁は高くなります。

④ 仕入先を変更するコスト新規参入を阻止!ポーターの7つの参入障壁-スライド12

4つ目の参入障壁は、「仕入先を変更するコスト」です。

部品等を購入してくれる企業が、「新たな仕入先に切り替える」コストが大きい場合、そのコストが既存企業に有利となり、新規参入企業には高いハードルになります。

この仕入先を変更するコストは、特に製造業で大きな影響を受けます。製造業では、部品の仕入れ先決定には、多大な労力とコストが掛かります。そのため、自社の製品やサービスを購入してくれる企業が、その仕入先変更のコストを掛けてでも切り替えてくれるかは、新規参入企業の優位性がどのくらいあるか次第です。

従って、仕入先を変更するコストである、品質面や審査の手間等が、実質的に新規参入企業の障壁になるのです。

⑤ 流通チャネルの確保新規参入を阻止!ポーターの7つの参入障壁-スライド13

5つ目の参入障壁は、「流通チャネルの確保」です。

既存企業が確固たる流通チャネルを持っている場合、その流通チャネルの存在自体が参入障壁になることもあります。

既存業者の製品が流通している業界に、自社の新製品やサービスを流通させるには多大な労力とコストが必要となります。なぜならば、取引先の開拓やプロモーション活動等の、営業コストが発生するからです。自社製品・サービスの優位性を伝えていくには、思っている以上に時間と労力等のコストが掛かるものなのです。

ポイントとなるのは、自社の既存の流通チャネルを活かすことが出来るかとなります。もし、自社の流通チャネルを活かせず、一から構築することが必要となる場合、当然参入障壁は高くなるのです。

⑥ 規模とは無関係なコスト面の不利新規参入を阻止!ポーターの7つの参入障壁-スライド14

6つ目の参入障壁は、「規模とは無関係なコスト面の不利」です。

その業界の既存企業が、「独占的な技術を持っている場合」、「独占的に材料を入手できる場合」、その技術や独占力は、規模とは無関係にコスト面で不利となり、新規参入のハードルが高くなります。

ここで言う独占的な技術の代表例は、「特許」です。既存企業が製品技術・生産技術等の特許を持っている場合には、当然ながらその特許を使用した事業を進める上では「特許使用料」というコストが発生します。

従って、この特許使用料などのコストは、規模とは無関係にコスト面で不利になってしまい、新規参入企業にとっての参入障壁となります。

⑦ 政府の政策新規参入を阻止!ポーターの7つの参入障壁-スライド15

7つ目の参入障壁は、「政府の政策」です。

業界によっては、参入に行政の許認可が必要となる場合や、既存企業が法的に優遇されている場合があります。その場合、政府の方針や政策が新規参入のハードルになります。

例えば、医薬品業界や建築業界、銀行業界等は免許制となり、一般の企業が直ぐに参入出来るものではありません。これらの業界のように、事業を行うにあたって行政の許認可が必要なケースがあり、許認可を得るためには、様々な条件を満たさなければなりません。

業界にもよりますが、行政が設定している許認可水準が高い場合は、それ自体が新規参入企業にとって参入障壁になることもあるのです。

3.まとめ

新規参入を阻止!ポーターの7つの参入障壁-スライド17

それでは、ポーターの7つの参入障壁についてまとめをしましょう。

新規参入時に考えるべき7つの障壁は、新規参入業者と既存業者とで捉え方が異なります。

あなたが新規参入業者であれば、参入障壁が低い、あるいは少ないと有利です。
従って、新規参入業者として参入障壁が低い事業を狙うのが王道です。例えば、既に自社で持っている流通チャネルやブランド力を活用した事業展開を行なうことで、参入障壁は低くすることが可能です。

一方、あなたが既存業者であれば、参入障壁が高い、あるいは多いと有利です。
従って、既存業者として参入障壁を高める努力を継続的に行なっていくことが求められます。例えば、自動化設備の投資による生産性向上は、規模の経済や巨額の投資による参入障壁の構築に繋がり、新規参入業者にとっては不利な状況をつくることが可能です。

新規参入に対する対応新規参入を阻止!ポーターの7つの参入障壁-スライド18

本講義では、「新規参入業者の脅威から既存業者が身を守るための参入障壁のつくり方」あるいは「新規業者が既存業者に打ち勝つための参入障壁の捉え方」について学習を行ないました。

最後に、「新規参入」はどんな時に促されるのか、少し考えてみましょう。

新規参入は、「新規参入コスト」が「参入により得られる利益」より小さい場合、想定し得るリスクも考慮された上で決断されます。

従って、新規参入業者は、「新規参入コスト」が「参入により得られる利益」より小さい業界を狙うことが大切です。参入の際には、新規参入業者は、参入コストを算出し、起こりうるリスクをしっかりと検討しなければなりません。

一方、既存業者は、「新規参入コスト」が「参入により得られる利益」より掛かるような業界構造を構築することが一番の防衛策になります。従って、日々継続的に参入障壁を高めることで、自社に忍び寄る脅威を軽減していくことが大切です。

つまり、既存業者は、これまで積み上げてきたもの自体が参入障壁になるのです。

いかがでしたか?7つの障壁についてイメージが出来ましたか?

もしあなたの会社で新規事業を考えている場合、あるいは新規参入による脅威に対して防衛策を打ちたいと考えている場合は、一度ポーターの「7つの参入障壁」という観点から事業を考えてみることをオススメします。


以上で、「新規参入を考える!ポーターの7つの参入障壁」の講義を終わります。
このコンテンツが、あなたの今後の活動に役立つことを、心から願っています。
引き続き、その他の講義も是非ご覧ください。

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