今回は、品質クレームを無くすために必要なことについて解説していきます。
後編では、品質問題を起こさないためには何が必要か解説
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3.品質問題を起こさないために必要なこと

②守れるルールをつくり、全員で守る
という2つです。それぞれ確認していきましょう。

「人間は、思い込み、錯覚、先入観、勘違い等、誰でも必ず起こしてしまう生き物である。」
これが出発点です。


正解は、CDです。パッと見はABの方が長く見えますが、実はCDの方が全然長いんです。これが目の錯覚です。
製造現場でも、モノの置き方が少し違っただけで、長さが違うように見えてしまうこともあるかもしれません。

この絵の中のAとBは、どちらの色が濃いでしょうか?

影の影響でAの方が濃く見えているだけで、周りの情報を消すと一緒であることが分かります。
これも目の錯覚ですね。
こういった錯覚は、大脳に蓄積された過去の視覚の経験が引き起こすと言われています。
人間は、それらの知識、経験を通して現実を認識するため、時として誤った判断をしてしまうのです。

このスライドに示しているように、対象を整列するだけで、情報が整理され、見落としを防ぐことが出来ます。

・人間は思い込み、錯覚、先入観によるエラーを必ず起こす生き物であること
・「思い込み」や「直感」は作業者によって大きく異なるため、これらが介在する場合は判断は必ずバラツク可能性があること
・思い込みのない作業環境を創り出す必要があること
そのための対策としては、
・作業者の経験や勘による判断を行なっている作業を徹底調査する。
・判断基準が曖昧なものは確実に明確化する。
・判断基準は、手順書・指示書等へ明記して「思い込み」によるエラーを発生させない。
というような地道な取り組みが必要になりますね。

地道な取り組みにはなりますが、「現場で働く1人1人がエラーを起こしやすい要素に気付く」、これを促していくことも日々行なっていかなければなりません。


どちらも会社を揺るがす大問題です。
過去の歴史を振り返っても、品質を疎かにして会社自体が傾いた事例は枚挙に暇がありません。
ここ数年でもたくさん発生していますよね。

正確な統計データではありませんが、少なくても約70~80%以上の品質問題は、決めたルールを守らないことによって引き起こされると言われています。

ほとんど意味がない!と認識しなければいけません。
では、なぜルールって守ってもらえないと思いますか?

・「ルールを守らない」のではなく「守りにくい・守れない」(対策内容自体の問題)
・真の要因に至った原因分析が弱いので、真の対策ではなく形だけの対策をしている(分析力の問題)
・指示待ちの風土が強く、間違っているとも言えず、言ったとしても相手にされないと思い込み、変えようという意識が無くなっている(風土の問題)
特に、形だけのルールを作ってしまっているケースはよく見受けられますよね。

次の3要件を覚えておきましょう。
①全員の意見を聴きながら、やり方や手順を決める
②一度決めたルールを役付者が率先して実践し、教えて守らせる
③決めた通りに皆が守れているかを確認し、守りにくければ改善する。

⇒ 全員に周知徹底し、ルールを守る
⇒ 現状に甘んじず、ルールを発展させる
このルールのレベルアップサイクルを常に回し続けることが大切です。

まずは、作業者のミスは責めないことです。
真面目に行なっていた上でミスをしてしまったということは、他の誰かであってもミスが発生するということです。
ミスが起きた原因を明確化し、再発防止に注力するようにしてください。
一方、作業中の手抜きに関しては、見逃してはいけません。
手抜きを見逃すことは、周囲に大きな悪影響を及ぼしてしまうため、厳しい姿勢が大切です。

「不」を見て見ぬフリをしていると、現場は疲弊します。気合だけで品質問題は防げないのです。

A:あたり前のこと
B:バカにせずに
C:ちゃんとやる
当たり前のことを確実に実行することが一番大切であることは誰でも分かっています。
しかし、現場は生き物ですので、実はこれが一番難しいのかもしれません。
1つはっきりしているのは、品質が良い会社、クレームが少ない会社は、例外なくこれが出来ていることです。
まずはそこからがスタートです。
品質・安全のABCを100%自信を持って「出来ている!」と言える会社を目指していきましょう!

カイゼンベース株式会社
代表取締役 藤澤 俊明
東京理科大学大学院修了後、トヨタ自動車(株)では生産技術部門で新規生産ライン構築や海外工場立上げ等に従事。その後製造系大手コンサルティングファームを経て独立。自動車部品工場、組立工場、鋳造工場、食品、化学プラント等、幅広くコンサルティング実績を積み重ねている。2015年にカイゼンベース株式会社を設立し、人材教育等の現場力・カイゼンの発展に向けて活動している。
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