第3回:どう進める?間接部門の業務効率化(前編) ~ECRSの4原則~

第3回カイゼンよもやま話

製造現場は歩留りや生産性が定量的な指標で表されていますよね。作業の状態を目で見ることもできるため、比較的改善に取組みやすいものです。

一方で、工場における間接部門の業務効率化は意外な穴場です。設備管理部門や生産管理部門、経理・総務部門等は定量的に表わされる指標がないことが多く、カイゼンと言う感覚を持ちにくいのです。

特に、デスクワークの多い皆さんは静かにパソコンに向かって仕事をしているので、一見ムダなどないように思われがちです。当の本人も「ムダなど無い」と思っている場合も多いものです。ところが間接部門も製造現場と同じで、不要な作業や手順、またはムダな報告書や会議などが満載なのです。

間接部門の効率化の指標は、単純に作業時間を捉えるのが基本です。
ある業務に掛かる時間を工夫して短時間でできるようにすると削減時間が生まれます。これを年間に換算すれば、どの程度改善されたかを数値化することが可能です。1回あたりの作業時間が分単位でも毎日行うようなルーティンワークの場合、年間に換算すると大きな効果が期待できます。

改善の4原則ECRS

実際に改善を進める際に登場するのが改善の4原則ECRSです。ECRSとは、業務効率化をする上での、取組む視点と順番を示しています。

ECRS(イーシーアールエスまたはイクルスと読みます)は、下記の頭文字を取ったものです。

Eliminate:排除、止める
Combine:結合、分離
Rearrange:入替、代替
Simplify:簡素化

ECRSは、E⇒C⇒R⇒Sの順番で考えることが重要です。すなわち、最初に考えるのはその業務や作業を止めることができないかということなのです。

「目的は何?」「誰の役に立っているの?」「これを止めたら誰が困るの?」

と自問自答していきます。更に、

「この業務を止めるためにはどうしたら良いの?」

と考え進めていくのです。担当者自身が自問自答するだけではなく、上司からの投げかけや職場メンバーとの議論で進めることで、様々な視点で考えることが出来ます。

4つの言葉について、もう少し詳しく見ていきましょう。

Eliminate(排除、止める)

最初に検討するべき視点が、「E(排除、止める)」です。

業務や作業そのものを無くすことができれば、コストも手間もかからず、実行も速くなります。業務の効率化においては、「そもそも止めることができれば効果が高い」というのは、当然と言えば当然ですね。ただし、意外とこの視点が抜け落ちてしまっていることが多いのも事実です。「必要だ」と思ってやっているので、まさか「不要だ」とは思っていないためです。従って、強制的に「排除できないか?」「止めることはできないか?」という視点で考えていくことがポイントです。

なお、複数の部署や関係者が関わっている場合は、関係者が集まってディスカッショをすることをお勧めします。「今までやっていた」と言う固定観念を捨てて、特に手間が掛かっている業務や時間が掛かっている業務について、止める方法を議論してみましょう。議論の結果として「止められない」ことが分かったら、次にCombine(結合、分離)について議論していくようにしてください。

Combine(結合、分離)

「C(結合、分離)」では、「その作業を同時に行なうことは出来ないか」「作業の機能を合体させることは出来ないか」「作業を別のタイミングで行なった方が効率的ではないか」という視点で検討を行ないます。

一般に、類似の業務や作業をまとめてみると、担当者が個々に必要となるスキルの数も減少します。異なる業務や作業を分離することにより、各工程内の業務の類似性が高まることで、業務効率が上がることが期待できるのです。「C(結合、分離)」についても「E(排除、止める)」と同様、比較的大きな効果が得られやすいという特徴があります。

Rearrange(入替、代替)

「E」、「C」が終わったら次の視点が「R(入替、代替)」です。

作業手順、作業場所、担当作業者の入替等を検討します。「R(入替、代替)」により、準備作業、付随作業の効率化が期待できます。

Simplify(簡素化)

「E」、「C」、「R」が終わったら、最後に検討する視点が、「S(簡素化)」です。

業務実態を測定・分析し、動作/要素/作業/工程単位での見直しを行ないます。
4つのいずれの部分でもお金がかかる場合があるかもしれませんが、効率化によって産まれる削減時間を金額に換算(例えば平均の労務費を利用)してバランスを考えれば実行の可否が判断できるのです。

以上でカイゼンよもやま話(第3回)は終了です。第4回では引き続き、「どう進める?間接部門の業務効率化(後編) ~業務の棚卸しとコミュニケーション~」というタイトルでよもやま話をしていきましょう!

カイゼンベース株式会社 井上カイゼンベース株式会社
東 健夫

講座監修者・コラム執筆者のプロフィール

株式会社クレハで35年以上に渡り、樹脂関連製品の研究開発から製造部門、そして生産管理から営業までを幅広く経験。幅広い視点から全体最適を意識した改革推進により、直接・間接の両部門の生産性向上、業務効率化に尽力し、2年間で2800時間を削減する等の実績を上げている。ここ数年はコーチング、心理学、NLPに知見を深め、「人と組織の成長」を支援するために活動中。


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