能力育成/マネジメント

社員教育・研修の効果測定の方法 ~カークパトリックのレベル4~

この講義は、「~カークパトリックの“レベル4”で考える~ 社員教育・研修の効果測定の方法」です。
教育担当者にとって、教育の効果をどう見える化するかは、非常に大切な課題です。

ただし、大事とは分かっていても、実際にはなかなか実施まで至っていない会社が多いのも実情です。
本講義では、有名なカークパトリックのレベル4を用いて、社員教育・研修の効果測定の方法について解説を行ないます。

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1.教育担当者の悩みの数々

それではまずは、教育担当者が抱えている悩みの一部を紹介していきましょう。

  • 研修の効果をどう確認したらよいのか分からない。
  • 研修によって上がった成果をどう証明したらよいのか。
  • 研修が実際に役に立っていることをどんな資料を使って説明したらよいのか思いつかない。
  • どのような指標を活用すれば教育の効果測定が出来るのか分からない。
  • 受講者の能力向上のためにどうやって気付きを促していったらよいのか苦慮している。
  • 業績と連動した形で評価できないものなのか。
  • 研修で学んだこと、気付いたことが、どの程度行動に影響を与えているかを知りたい。

ここに挙げられていることは、多くの会社、多くの教育担当者において、共通の課題・悩みです。

2.教育の効果測定に関する現状

それでは、研修やeラーニング等の“教育の効果測定”をどの程度行なっているか、数値で確認してみましょう。

まずは、効果測定の取組みを「何も行なっていない」会社と、「何らかの取組みを行なっている」会社の比率は、どちらも50%程度となっています。

半分の会社は、何らかの教育の効果測定を行なっているということですね。
それでは、何らかの取組みを行なっている会社では、どのようなことを行なっているのでしょうか。

調査結果を見ると、約80%の企業は、集合研修やeラーニング後に実施する満足度確認アンケート程度に止まっていることが分かります。

残りの20%は、理解度確認テスト、実践度評価等まで実施している企業です。
数字で見ると、教育の効果測定において、十分な取り組みが出来ている会社は、10社に1社程度に止まっているのが実情です。

つまり、10社中9社は、十分な取組みが出来ていないことになります。
人手不足の現代、教育の効果測定と定期的な内容のブラッシュアップを行なっていく必要性を、企業幹部・教育担当者は、しっかりと認識せねばなりません。

3.ドナルド・カークパトリックモデル

それでは、研修・教育の効果測定を実施する有名なモデルである、ドナルド・カークパトリックの“レベル4”について紹介しましょう。

ドナルド・カークパトリックの“レベル4”では、その名の通り、4つのレベルで教育の効果測定を行ないます。

まず、レベル1では、Reaction(満足度)を測定します。
受けた教育に対して、どのくらい満足したかを評価するフェーズです。

レベル2では、Learning(理解度)を測定します。
受けた教育に対して、どのくらい理解が出来ているかを評価するフェーズです。

レベル3では、Behavior(実践度)を測定します。
受けた教育の内容を踏まえ、日々の改善活動等でどのくらい行動に繋げたかを評価するフェーズです。

そして、レベル4では、Result(業績貢献度)を測定します。
生産性向上、品質改善、クレーム低減等の指標において、どのくらい数値が変化したかを評価するフェーズです。

代表的な施策

それぞれのレベルにおける、代表的な実施策を見てみましょう。

レベル1における代表的なものには、「教育後の満足度アンケートの実施」が挙げられます。

レベル2における代表的なものには、「教育後の理解度確認テストの実施」が挙げられます。

レベル3では、「行動量の増加度合いの測定」が有効な測定手段となります。

レベル4では、「業績指標に対する総合的な評価」が必要となります。

数字データとカークパトリックモデル

先ほどのスライドにおける「数字データ」を再び確認してみると、何らかの取組みを行なっている企業の80%が該当する、「集合研修やeラーニング後に実施する満足度確認アンケート」というのは、カークパトリックモデルにおける「レベル1」に相当します。
残りの20%がレベル2以上に相当しますが、レベル2以上が出来ている企業は、10社に1社しかないということになります。

4.各レベルにおける評価方法

レベル1:満足度アンケート評価


それでは、各レベルにおける測定方法の詳細を確認していきましょう。

まずは、レベル1の満足度アンケート評価についてです。

研修後のアンケートは、
「今回の研修の満足度はどのくらいか」
「研修内容の難易度は適切だったか」
「講師の説明は分かり易かったか」
「研修で学んだことはあなたの仕事に役立ちそうか」
「研修の時間は適切だったか」
といった項目を5段階評価等で記載をしてもらいます。

必要に応じて、ここに示している項目を基本に、知りたい項目を追加することがポイントです。

アンケートの結果から、研修への満足度の高さ・低さを認識し、次回の実施へ反省点等を反映させていきます。

例えば、満足度が低い場合は、
「研修内容の見直し」
「教育担当者の見直し」
「講師の変更」
「講師のプレゼン訓練」
といったことが次回へ向けた課題として挙がってきます。

満足度が高い場合でも、
「研修対象範囲の拡大」
「講師の評価アップ」
等を行なうことにより、次回より満足度が高い研修の開催に繋がっていきます。

大事なことは、研修を開催しっ放しにせずに、しっかりとPDCAを回していくことです。

アンケート調査では、受講者の満足度を確認できることはもちろん、複数の研修を実施しているのであれば、各研修の比較をすることも可能になります。
内容の満足度は高いものの、講師への満足度が低い場合は、次回以降、講師を替えるという判断も必要になります。

このことは、講師に適度な緊張感を与えることにも繋がります。 

一方、講師への満足度は高いものの、内容の満足度が低い場合は、研修内容の見直しが必要だという判断が出来ます。

社員教育・研修の効果測定にまだ全く取り組んでいないという会社は、まずは簡単に取り組めるレベル1の「満足度評価」に取組むことをオススメします。

レベル2:理解度確認テスト評価

それでは続いて、レベル2の理解度確認テスト評価について確認します。

教育後、まずは知識として理解出来ているのかをテスト形式で確認します。

eラーニングの教材を使用している場合は、教育後の一定の期間内に、パソコンを使ってテストを受けさせ、どのくらいの得点が取れているかを確認します。
理解度確認テストは、簡単な問題だけではなく、内容を本当に理解していないと出来ないようなものを作ると効果的です。

※カイゼンベースでは、理解度確認テストを提供しています。

なお、教育担当者は、学習状況やテストへの緊張感を高める施策も必要不可欠です。
どのようなことを行なうことが有効なのでしょうか?

例えば、「受講状況」や理解度確認テストの「初回得点分布」をボードに貼り出す等による、見える化が有効です。

誰が受講完了しているか、誰が受講していないか(サボっているのか)、自分の理解度は他の人と比べて高いのか低いのか等の事実を見える化することにより、受講者は適度な緊張感を持って教育に臨むことができます。

やってもやらなくても何も変わらない状態では、前向きな人材だけが積極的に学習し、前向きでない人材は何もしない、というような状況になってしまいます。
そうならないように、しっかりと事実を掲示し、気付きを促していくことが教育担当者の仕事でもあるのです。

個人別の得点ランキングの見える化も行なうことも有効です。

誰が一番理解度が高いか、誰が手を抜いているか、誰に事後フォローが必要かが一目で分かります。

なお、ランキングは、初回得点で評価することがポイントです。
eラーニングの場合、1回目に適当に実施し「答え」を確認し、覚えた解答で2回目に最高得点を取るようなこともできてしまいます。

初回得点を用いることで、このような見た目の理解度ではなく、純粋な理解度を判断することが可能です。

更に、一定期間後に再度テストを実施するなど、定期的に復習を促し、理解度を向上させる仕組みも有効です。

以上のことを踏まえ、教育担当者は、
・教育活性化のための実施アクション検討
・見える化方法の検討
・テスト実施の呼び掛け
・役職上位者の巻き込み

これらのことが教育活性化の鍵になると認識し、各種取組みを行なうようにしましょう。

レベル3:行動量増加度の評価

それでは次に、レベル3の行動量増加度の評価についてです。

集合研修やeラーニングを行なった後に起こしたい変化は、「行動量の増加」です。

教育担当者は、教育の取組みを行なう前に、まずは「どんな行動の変化を起こしたいのか」を明確化し、実際にその行動に関する数字がどう変化したかを測る指標を設定していかねばなりません。

例えば、既存の指標を使って評価する方法があります。
・改善提案件数
・気付き提案件数
・現場パトロールでの指摘件数
・その教育に関する改善テーマの実施件数

といった各種指標がどのくらい変化したかをモニターし、効果を測定します。

また、アンケートにより評価する方法もあります。

例えば、安全に関する教育を行なった場合、教育後に「何箇所、危険部位を無くす行動を起こせたか」というアンケートを行ないます。
2箇所以上であれば「十分効果があった」、1箇所であれば「少しだけ効果があった」、変化なしであれば「効果が無かった」という評価ができます。

どのような指標を選定するかは、教育担当者の腕の見せ所です。

グラフ化する等により、教育前と教育後に「どのくらい行動量が増加したか」を見える化することで、教育の効果だけではなく、教育担当者自身の頑張りのアピールにも繋がります。

どんな指標を用いるか、どんな指標をつくるか、迷った時には、カイゼンベースにご相談ください。

行動量の測定においては、1つ注意点があります。
集合教育を一方的に行ない、放置をすることは厳禁です。
教育担当者は、受講者が実務や改善活動において、教育されたことをもとに行動を起こすことを積極的に促すことが求められます。

2:6:2の法則は知っていますか?教育後の受講者の行動は、2:6:2の法則に当てはまると言われています。

受講者全体の中で上位の2割の人は、何もフォローをしなくても自主的に行動を起こす人たちです。

真ん中の6割の人は、少しのフォローがあれば行動を起こす人たちです。

下位2割の人は、積極的にフォローをしなければ行動を起こさない人たちです。
つまり、いくら良い教育だったとしても、何もフォローをしなければ、十分に行動が促されないということです。

教育担当者は、行動を喚起するフォロー業務が必須です。
どのように行動を促すのか、各職場の管理職と協力しながら決め、継続的にフォローを行なっていくことが必要不可欠となります。

レベル4:業績指標に対する総合的な評価

最後に、レベル4の業績指標に対する総合的な評価についてです。

業績指標に対する教育の効果と言っても、必ずしも直結して評価することはできません。
教育単独の効果だけではなく、年間の活動、あるいは中長期的な計画の一部として、総合的な評価を行なうことが必要となります。

ここに示すように、例えば、クレーム低減活動を行なっている場合、年間の活動計画の中の一部として教育の実施が位置付けられます。
教育においては、座学実施 ⇒ 理解度確認テスト ⇒ 実践研修 ⇒ 行動量変化の測定といったように、カークパトリックモデルのレベル1~3までの評価を確実に行なえているかをチェックします。

そして、最終的な結果指標であるクレーム率等に対する、総合的な判断の1つとして評価を行ないます。

教育単独で業績指標が上がるわけではなく、複数の要因が影響します。
単独では評価が出来ないことが前提であり、レベル1~3の評価を基に、総合的にPDCAを回していくことが不可欠となります。

イメージで描くとここに示す通りです。

レベル1~3が◎(二重丸と読む、音声にしない)でレベル4の業績評価も◎の場合、「予定通り教育も業績向上へ貢献している。来期も継続。」といった考察ができます。

一方、レベル1~3が◎でもレベル4の業績評価が×の場合、「予定通り教育は完了出来ているが、業績への貢献ははっきりと見えない結果に終わった。来期に向けて、教育内容に関するアンケートを実施する。」といったような考察が必要になります。

また、業績評価が◎でも、レベル1~3のどこかが×の場合、「業績は達成したが、教育後のアクション量が不足した結果に終わった。教育以外の要素の貢献度が高い可能性もあり、アクションに繋がらなかった原因を調査分析し来期にフィードバックする。」といった考察が必要となります。

以上のように、レベル4では○か×という単純な評価ができません。
総合的な視点をもとに、教育の効果を客観的に考察し、次回の取組みへ反映させていくような仕組みが必要不可欠となります。

5.終わりに

いかがでしたでしょうか?社員教育や研修における効果の測定方法のイメージはできたでしょうか?

レベル1のアンケート程度であれば、特にやる必要がないと軽視してしまう
レベル2の理解度テストの作成の手間を惜しんでしまい、結局アンケートだけで終わってしまう
レベル3の実践度の測定は部署ごとに同じことは出来ないからといって諦める
レベル4の業績との連動を考えるあまりに、結局行き詰って手を付けないでいる

このような状態では、これ以上の進歩は期待できません。

パークカトリックモデルのレベル4の各段階でどのような取組みを行なうかをしっかりと検討し、一歩ずつステップアップしていくようにしましょう。

そして、教育担当者の人は、今年の自分の目標は、
「研修への満足度は4.5点以上」
「理解度テストは平均90点以上」
「実践度は3ヵ月後に改善提案件数1.5倍」

というような自分自身の目標も設定して、進めていくようにしましょう。

何も評価しなければ、教育の効果は説明できません!
教育担当のモチベーションだって上がりません!

継続的にPDCAを回すことで、研修効果の改善・維持向上に繋がります!
そのことが研修担当者自身のモチベーションの向上へ繋がります!

他社に負けない、自社流の教育システムの構築へ向けて、活動を進めていきましょう。


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