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動作経済の原則とは何か?用語を解説
動作経済の原則とはどんな原則?
動作経済の原則とは、最小限の疲労で最大の成果を上げられるように、最も良い作業動作を実現しようとする経済的な法則のことを言います。
動作改善では、単に作業者の動作を改善するだけではなく、材料、治工具、機械などの置き場所、形あるいはその働きなど、作業に関連する環境を含めて考えなければなりません。
それを動作経済の原則では、4つの基本原則という形で体系化しています。
4つの基本原則と3つの視点
4つの基本原則とは、次の通りです。
動作の数を減らす
1つ目が、「動作の数を減らす」という原則です。
探す・選ぶ・考える・前置きを行っていないか、一発で掴めているか、一発で組立てているかなどの視点です。
動作を同時に行う
2つ目が、「動作を同時に行う」という原則です。
片手の手待ちが発生していないか、保持動作が発生していないかなどの視点です。
動作の距離を短くする
3つ目が、「動作の距離を短くする」という原則です。
不必要な大きい動作で行っていないか、長い距離を動いていないかなどの視点です。
動作を楽にする
4つ目が、「動作を楽にする」という原則です。
やりにくい姿勢で動作していないか、力が必要な動作になっていないかなどの視点です。
これらの視点を活用し、動作改善を進めていくことが動作経済の原則の使い方となります。
この4つの基本原則に対して、3つの視点で考えていきます。
1つ目は動作方法の視点、2つ目は作業場所の視点、そして3つ目は治工具および機械の視点です。
つまり4つの原則×3つの視点、合計12個の視点で作業の「こうあるべき」が定義されています。
動作経済の原則の詳細
動作経済の基本原則 ①動作の数を減らす
動作方法の視点
作業場所の視点
- 材料や工具は作業者の前方一定の場所に置く
- 材料や工具は作業順に合わせて置く
- 材料・工具は作業しやすい状態に置く
治工具および機械の視点
- 材料・部品の取りやすい容器や器具を利用する
- 機械の移動方向と操作方法を同じにする
- 2つ以上の工具は1つに結合する
- 治具への締付けには動作数の少ない機構を利用する
動作経済の基本原則 ②動作を同時に行う
動作方法の視点
- 両手は同時に動かし始め同時に終わるようにする
- 両手は同時に反対・対称方向に動かす
作業場所の視点
- 両手の同時作業ができる位置にする
治工具および機械の視点
- 対象物の長時間の保持には保持具を利用する
- 簡単な作業または力を要する作業には足(脚)を使う器具を利用する
- 両手の同時動作ができる治具を考える
動作経済の基本原則 ③動作の距離を短くする
動作方法の視点
- 動作は最適身体部位で行う
- 動作は最短距離で行う
作業場所の視点
- 作業域は作業に支障のない限り狭くする
治工具および機械の視点
- 材料の取出し・送出しには重力を利用した器具を利用する
- 機械の操作位置は動作の最適身体部位で行えるようにする
動作経済の基本原則 ④動作を楽にする
動作方法の視点
- 動作は制限のない楽な運動に近づける
- 動作では重力や他の力(機械力、慣性力、反発力等)を利用する
- 動作の方向やその変換を円滑にする
作業場所の視点
- 作業位置の高さを最適にする
治工具および機械の視点
- 一定の運動経路を規制するために治具やガイドを利用する
- 握り部はつかみやすい形にする
- 見える位置で楽に位置合せできる治具にする
最後に
問題を見つける時、改善案を検討する時には、ここで挙げた動作経済の原則に照らし合わせながら進めることで、今までより多くの視点が見えてくるはずです。是非活用してみましょう。
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